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2016.12.6 | カテゴリ:ブログ

『想いを馳せる、人をつなぐ』

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こんばんは。
札幌在住、認定カウンセラーの佐藤三佳です。
このサイトにアクセスしていただき、ありがとうございます。
 
今朝、窓の外は雪が降って、真っ白な世界でした。
この雪をみて・・・
この季節がやってきた、しかたないよね・・・
そんな会話が、今日一日ありました。
綺麗だなぁ・・・
そう捉えられたら良かったのですが(^_^;)
 
今年も残り1ヶ月を切りました。
今年を振り返り、私にとって、
忘れられない方とのお別れについて
綴ってみようと思います。
 
その方との出会いは5年ほど前で、
他の施設から、私の働く施設に移って来られました。
出身は北海道ではなかったため、
「帰りたい」と風呂敷に包んだ荷物を抱えて
よく玄関の前に立たれていた姿が、
今でも思い出されます。
 
他人との交流を嫌い、
自分のお部屋で静かに過ごされていることが多く、
職員にもなかなか打ち解けようとはされなかった方。
 
認知症状がすすんだのか、
強いこだわりがやわらいでいき、
いつからかその方は、部屋から出てくるようになり、
リビングの一人掛けソファーで過ごすことが多くなりました。
そこに座って、優しく微笑み、
周りの人たちに癒しを与えてくれていました。
一躍、職員からの人気者となっていました。
 
私もその方の事が大好きで、
時間が空くとよく会いにいきました。
落ち込んでいると、私の頭を撫でてくれました。
いつも待っていてくれました。
何日かぶりに会いに行ったりすると
「やっときたな」という顔をしてニヤリとしました。
 
彼女にとって私は、
“近所の相手をしてやらなければならない子供”
だったのではないかと思います。
他の職員たちからは
「栄養士さんがくると本当に嬉しそう。
 他の人とは違うみたいだね」とよく言われました。
私は、私が見ている彼女しか知らないので、
どう違うのかはわかりませんでした。
いつも、彼女はニコニコと笑顔を向けてくれました。
 
彼女はある日、高熱を出して寝込んでしまいます。
翌日から3日間札幌を離れることになっていた私は、
ちょっと会えないけど、待っていてね・・・
そう声をかけました。
彼女は、私の手を強く握って離そうとはしませんでした。
 
3日後、札幌に戻ると、彼女は入院されていました。
入院先の病院にも、仕事帰りに通いましたが、
あの笑顔をみることはありませんでした。
私は彼女に『今度は私が待っているからね』
そう声をかけました。
それから、3日後静かに逝きました。
 
彼女の葬儀は、彼女の故郷で行われるとのことでした。
彼女には子供がおらず、
姪っ子さんが彼女のキーパーソンでした。
 
火葬までの間、遺体を安置しているという会場を知り、
お線香をあげさせてほしいと一人で訪ねて行きました。
そこには姪っ子さん夫妻しかおらず、
姪っ子さんと、彼女との思い出を語りました。
 
優しい彼女のたたずまいが、
職員にとっての癒しだったこと、
私はほとんど毎日、会いに行っていたこと、
会うのをいつも楽しみにしていたこと、
姪っ子さんは、涙しながら喜んでくれました。
 
東北で暮らしていた彼女を、
北海道に呼び寄せて面倒をみようと思った姪っ子さん。
しかし、認知症という病気の発症もあり、
「帰りたい」という思いを強くしていく彼女。
在宅での生活が難しくなり、
結局、施設の生活となってしまいました。
 
姪っ子さんにとっては、
北海道に連れてきてしまったことが、
良かったのかどうか・・・
迷ったこともたくさんあったそうです。
施設に預けてしまったことへの
罪悪感もあったのでしょう。
 
「叔母は、自分の居場所をちゃんとみつけていたんですね」
姪っ子さんは、そう言って泣いていました。
もっと早く、こんな話ができていたらよかったですね。
私は姪っ子さんと、彼女の思い出話をしながら、
泣いたり笑ったり・・・良い時間を過ごしました。
 
施設で人気者であった彼女のことを
姪っ子さんに伝えるために、
私はあの日、彼女の元へ、
彼女に導かれたのだと思いました。
彼女が、姪っ子さんと私を繋いだのでしょう。
 
私が、彼女にかけた最後の言葉。
『今度は、私が待っているからね』
 
いつも、リビングのソファーに座って、
私が顔を出すのを待っていてくれた彼女。
彼女は、肉体を手放して、
今はいつでも私のそばにいてくれている気がしています。
待っている私のそばに、いつも寄り添ってくれています。
思い出されるのは、彼女の笑顔ばかりです。
悪戯っぽく笑った目が、今でも鮮明に思い出されます。
 
素敵な思い出を、ありがとうございました。

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